楽器情報

ルシアーは中出一族の輝明氏、氏の制作数は、一族の中では制作本数が少なく非常に緻密な仕上がりのギターが多いと感じています。父上の阪蔵氏同様に甘さがある上に、透き通る様な高音が印象的です。透き通る様な高音と籠もることの無い豊かな低音のギターであり、出品のギターも同様の印象を受けます。バックの材は豪快な杢目のハカランダです。

45年以上前のギターであり、トップを中心に傷がありますが材の割れは認めず、年式を考えると良好な状況です。

トップはドイツ松単板、ベアクローを伴った年輪は緻密な個体です。ハカランダ製のブリッジの剥がれはありません。弾き傷、打ち傷があり、年式相応の状況です。サイドは杢目は完全に一致しており単板、サイドには割れ止めが設置されています。バックも単板です。内部の仕上げも丁寧な仕事が行われており、胴内塗装が施されています。うねりなどの杢目が豊かで個性のある素晴らしい杢目です。経年劣化を感じますが、カシューは木材に馴染んでおり、大変良いコンディションです。ヘッドの突板もハカランダです。指板にはナットのロー側に僅かな凹みがありますが、著しい状況ではございません。フレットの減りは、中古ですので7割残とします。音の詰まりはありません。ネックはスペイン式となっています。ネックはセドロ、打ち傷やカポの跡を認めます。エボニー芯で補強され、概ねストレートで正常な範囲です。弦高はやや低めの設定となっています。ラベルはハカランダの油分が浸透していますが、年式1977年の記載と型番C20、中出輝明氏の筆記体のサインが記載さています。ペグはオリジナルのGOTOH製、経年劣化を伴いますが、使用には支障ございません。軸間は40mm程度です。