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黒澤澄雄氏は叔父の黒澤常三郎氏に製作技術を学び、その後スペインにてアグアドなどの名工から指導を受け、現在に至ります。日本国内有数のベテラン製作家として広く認められています。伝統的なスペインの製作技法を取り入れたギターは、独特の甘い音色と包み込むような音の広がりを持ち、手工ギターならではの温もりを感じます。凝った象嵌細工はアバロン貝を用いたロゼッタ、ヘッドはスペイン留学時代に学んだアグアドを彷彿とさせる梨地彫りのデザインとなっています。

特徴はやや硬めの音質で、芯のある明瞭な音となっています。音の輪郭ははっきりしており、重厚な低音もバランス良く、主旋律となる高音も心地よく謳ってくれます。トップを中心に弾き傷や打ち傷など使用に伴う傷がありますが、割れや修理歴は認めず、美品として出品します。年式も比較的浅くやや硬さがありますが、今後の弾き込みで楽器の成長を期待できる個体と思います。また中古品やヴィンテージギターへのご理解がある方に使って頂きたく思います。

トップはドイツ松、年輪は緻密な個体です。ブリッジの剥がれはありません。塗装はラッカーです。トップには擦り傷、打ち傷を認めます。サイドは割れ止めを認め中南米ローズウッド単板、バックも中南米ローズウッド単板です。バックには僅かに打ち傷がありまが、美観を損ねる程度ではありません。ヘッドの造形はアグアドを模したものであり、気品ある個体となっています。指板の目立つ凹みはありません。ナットはスキャロップ加工が行われ、音の分離に貢献しています。フレットの減りは中古ですので9割残とします。1弦は20フレットまで設置さています。ネックはエボニー芯で補強されたマホガニー、捻れはなく、概ねストレートです。弦高は標準的な設定となっています。ペグはオリジナルのアルミ軸、GOTOH 35-G510シリーズです。